のらねこ生活  記録本部

miruが適当なことをつぶやいているよ 基本ツイッターやpixivに生息してるよ テスト嫌だよ

花言葉【鬼灯の冷徹】 pixivup作品

「ねえねえ桃タロー君!鬼灯の花言葉って知ってる?」
桃タローの直々の上司であり、神獣の白澤が唐突に話しかけてきた。
「急に何ですか白澤様…えっと…鬼灯の花言葉は…心の平安とか不思議でしたっけ?」
地獄の補佐官の顔を思い出しながら鬼灯の花言葉を並べる桃タロー。
「そうそう~他にはね、頼りないとか欺瞞とかってのがあるんだよ~おかしいよね。全然似合わない。」
そういう上司を見ながら桃タローはきっとこの神獣もあの補佐官を思い浮かべているのだと思った。
「はぁ…確かにぴったり来ないですよね…」
「まあ自然美とかおかしくないのもあるんだけどね~でもこれよりもっと似合わない言葉があるんだよね~」
面白そうにけたけた笑いながら話す上司を見ていると嫌な予感しかしない。
「でさぁその花言葉がさ…」

「鬼灯(わたし)の花言葉がどうしたんですか。」

そしてその嫌な予感は別の方向で当たってしまった。
振り返ると今一番来てはいけない人物がドアの前に立っていた。
いつもなら壊されているはずのドアがしっかりとそこにあるだけど安堵の息を漏らしてしまう。
「ほ…鬼灯さん…」
「っ!?お前いつからいたんだよ!!」
「今さっき来たばかりですけど?それより薬の納期今日ですよね?来ること分かってますよね?もちろん薬はできてるんでしょうね…」
重たそうな金棒を片手でぱんぱんやっている。
「い…今作ってるだろうがっ!」
「今日まで何日あると思ってるんですか。無駄話をしてる暇があったらさっさと作ってください。」
そういいながら従業員であるウサギをもって定位置についた。
今残っているのはそこに座っている彼の分だけで、その彼の分も白澤しか作れないものなので桃タローはお茶でも入れることにした。
お茶を入れてる最中に考えていたことはやはり先ほど話題に出ていた鬼灯の花言葉だった。
お茶を出しつつ自分も向かいに座る。
「えっと…聞いていいのかわかりませんが…鬼灯の花言葉ってあとなにがあるんですか…?」
自分から地雷を踏みに行ってる感じがしたがもう遅い。
向かいに座っている補佐官はお茶を飲みながらこちらを見た。
「…知りたいですか…?」
低いバリトンボイスで聞かれるとやはり怖いと感じる。
「えっと…まあ、はい。気になったんで…」
後ろで白澤が「桃タロー君勇気あるね~」と笑いながらつぶやいているのが聞こえたがスルーする。
鬼灯はため息をつきながら
「まあ別に私のことではなくあくまで花言葉なのでいいですが。」
と答えた。
「あっ本当ですか?」
「ええまあ、そうですね。花言葉は、心の平安・不思議・自然美・頼りない・半信半疑・いつわり・欺瞞、私を誘って下さい」
先ほど自分や白澤が言ったのとほぼ変わりなかった。
心の中で向かいの補佐官が言った花言葉を繰り返す。
「確かに半信半疑とか偽りとか欺瞞とか私を誘ってくださいとか…えっ?」
「どうしましたか?」
お茶を飲みながらウサギを愛でていた鬼灯がこちらを見て首をかしげる。
後ろで白澤が笑いながら薬を作っているようだけれどもまたスルーする。
「あーうん。白澤様これが言いたかったんですか。はい。分かりました。」
嫌な予感が当たってしまった。うん。
「あなたたちはくだらないことを話しているんですね。」
「えー別にいいじゃん。お前に関係ないし。まあお前の口からあれが聞けただけでちょっと良かったけどさ」
薬が完成したらしく、笑いながら薬を渡す白澤を見ていると何か疑問がわいてくるが解決できないのでおいておく。
「それでは失礼いたします。」
そういって席を立つ鬼灯だが入り口の前でふと立ち止まった。
「鬼灯さん…?」
「そういえば鬼灯のフランス語の別名は「檻に閉じ込められた愛」というそうですね。それでは。」
そういいながら出ていった補佐官様を見送りながら桃タローは上司のほうを見た。
「檻に閉じ込められた愛…ですか?」
「あんまりそっちのほうは詳しくないけれどそうらしよ~」
さすが万物を知る神獣だけあって知っているらしい。
「あいつの心は誰の檻の中に閉じ込められてるんだろうね~…」
「えっ?白澤様何か言いました?」
「ううん~独り言だよ~。とりあえず今日は何もないし花街にでも行ってくるよ~!」
「はぁ…ほどほどにしてくださいよ…?」
「うん~了解~」
スキップをしながら出ていった神獣を見てやはり何か引っかかった。
「さっきの独り言思い出せれば出てきそうなんだけどな~…」
とりあえず今日は店も休みにしようと思い桃タローも外に出た。